
こんにちは、院長の藤井です。
6月の外来あたりから、診察室で「次回お会いするときは、もう夏休みですね」とお伝えすると、「はあ……夏休み、早いですね……」とため息まじりにお答えになる親御さんの姿が増えてきます。
親御さん、本当にお気持ち、よく分かります。
夏休みに入ると、1日3食の食事を準備したり、毎日のように学童のお弁当を作ったりと、それだけでもやることが一気に増えてしまいます。
そこに加えて、多くのご家庭で頭を悩ませるのが、「夏休みの宿題」ではないでしょうか。
「早く宿題やりなさい!」
「いつになったら始めるの?」
気づけば毎日同じことを言ってしまい、「また怒ってしまった……」と自己嫌悪になる親御さんも少なくありません。
今回は、発達の特性があるお子さんでは、なぜ宿題が進みにくいのか、そして今日からできる工夫についてお話ししたいと思います。
なぜ、夏休みの宿題が進まないのでしょうか?
子どもが宿題になかなか取り組まないと、「やる気がないのかな」「怠けているのかな」と感じてしまうことがあります。
しかし、発達の特性があるお子さんでは、「やりたくない」のではなく、「取りかかること」や「続けること」が苦手な場合があります。
見通しを立てることが苦手
「あと何日あるのか」「1日にどれくらい進めれば終わるのか」といった時間の見通しを立てることが苦手なお子さんは少なくありません。
「まだまだ夏休みはあるから大丈夫」と思っているうちに、気づけば8月の終わりになっていた、ということもよくあります。
気が散りやすい
家の中には、ゲームやテレビ、おもちゃなど、魅力的なものがたくさんあります。
発達の特性があるお子さんでは、注意を切り替えたり、一つのことに集中し続けたりすることが苦手な場合があります。
宿題よりも楽しいことに気持ちが向いてしまうのは、決して珍しいことではありません。
興味が持てない課題は始めにくい
好きなことには驚くほど集中できる一方で、興味が持ちにくい課題には、なかなか取りかかれないことがあります。
「やればできる」のではなく、「始めること」が一番大変なお子さんも多くいます。
読み書きそのものに負担がある
読み書きに苦手さがあるお子さんでは、プリントを1枚終えるだけでも、人一倍エネルギーを使っています。
周囲には分かりにくくても、本人にとっては大きな負担になっていることもあります。
今日からできる5つの工夫
① 夏休みの最初に「見通し」を一緒に立てる
まずは宿題を全部広げて、お子さんと一緒に確認してみましょう。
「今日はここまで。」
「今週はここまでできたら十分。」
と、小さな目標を一緒に考えるだけでも、宿題への取り組みやすさが変わります。
親御さんが一人で管理するのではなく、お子さんと一緒に見通しを立てることが大切です。
② 宿題を小さく分ける
「ドリル10ページ」ではなく、「今日は1ページだけ」「まずは5問だけ」。
ゴールが近く見えることで、「これならできそう」と取り組みやすくなります。
③ タイマーを使う
「10分だけ頑張ろう」と時間を区切る方法もおすすめです。
残り時間が目で見えるタイマーを使うと、「あと少し」が分かりやすくなり、集中しやすくなるお子さんもいます。
④ スタートのハードルを下げる
「机に座る」こと自体が難しいお子さんもいます。
「ノートを開けたらOK。」
「1問だけできたら今日は合格。」
そんなふうに最初のハードルを思い切って下げると、取りかかりやすくなります。
⑤ 必要に応じて学校へ相談する
読み書きの苦手さなどが強い場合は、ご家庭だけで頑張ろうとせず、学校の先生へ相談してみることも大切です。
課題の量を調整したり、取り組み方を工夫したりすることで、お子さんが無理なく学習に取り組めることもあります。
夏休みは「自己効力感」を育てるチャンス
夏休みの宿題は、「全部終わらせること」だけが目標ではありません。
「今日はここまでできた。」
「昨日より一歩進めた。」
そんな小さな成功体験を積み重ねることが、「自分にもできた」という自己効力感につながります。
もちろん、予定通りに進まない日もあるでしょう。
そんな日は、「今日は疲れていたね」「また明日から頑張ろう」と声をかけてあげてください。
完璧な夏休みでなくても大丈夫です。
親御さんも、お子さんも、お互いに少し肩の力を抜きながら過ごせることが、何より大切だと私は思います。
夏休みの終わりに、「今年の夏も頑張ったね」と笑顔で振り返ることができたら、それはきっと素敵な夏休みです。
どんぐり発達クリニックは、この夏も皆さんの毎日の「大丈夫」を応援しています。
困ったときは、一人で抱え込まず、いつでもご相談ください。
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