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「先生の息抜きって、なんですか?」と聞かれて

「先生の息抜きって、なんですか?」と聞かれて|どんぐり発達クリニック|発達障害

「こんなことを聞いていいのかわからないのですが……」

診察の終わり際、あるお母さまから、こんな質問をされました。

「3人の子育てをしながら、お仕事もされている先生の息抜きって、なんですか?」

少し意外な質問でしたが、同時に「とても大切な問いだな」と感じました。発達専門外来では、日々、子育てや生活に一生懸命向き合っておられる保護者の方とお話をしています。皆さん、本当に頑張っておられます。

子どもが小さい頃は、息抜きを考える余裕がなかった

正直にお話しすると、私自身、子どもが小さい頃は「息抜き」を考える暇がほとんどありませんでした。

仕事に家事に育児に追われ、休日もワンオペで、ただ一日を乗り切ることに必死だった記憶があります。

今振り返ると、「もう少し自分を労わることを考えてもよかったな」と思うこともあります。自分のことを考える余裕もありませんでした。

特に心に残っているのは、当時の私を見て「大変そうだね」と声をかけ、数時間子どもを預かってくださった方の存在です。その時間、特別なことをしたわけではありませんが、静かな時間を過ごせたことに、心から感謝しました。

誰かの手を借りることも、立派な息抜き

子どもが小さい頃には、ファミリーサポートを利用したこともありました。

「親なのだから全部自分で頑張らなければ」と思いがちですが、頼れる仕組みを使うことは決して甘えではありません。親が少し回復することで、結果的に子どもと向き合う力が保たれることも多いと、診察の中でも感じています。

今の私の息抜きは、とても小さなこと

子どもたちが成長した今、少しずつ自分の時間を取れるようになりました。

今の私の息抜きは、とてもささやかなものです。お茶を一杯飲む時間も、「これは自分のための時間だな」と意識して過ごすようにしています。忙しい日々の中でも、そうした時間があるだけで気持ちが整うことがあります。

ストレスを感じたときにしていること

ストレスを感じたとき、私はまず「感じたこと」「思ったこと」をそのまま書き出すようにしています。

「こんなふうに感じてはいけない」と、負の感情を否定しないことも大切にしています。怒りや不安、悲しさを持つこと自体は悪いことではありません。その感情と、どう付き合うかを考えることが大切だと思っています。

自分を回復させるための選択肢として、例えばこんなことをしています。

  • 紙に気持ちを書き出す
  • 温かいお茶やコーヒーをゆっくり飲む
  • 可能であれば少し横になって眠る
  • アロマの香りをかぐ
  • 軽く体を動かす、ストレッチをする
  • 近所を散歩する

どれも特別なことではありませんが、「今の自分には何が合いそうか」を選べるようにしています。選択肢があるだけで、気持ちが少し楽になることもあります。

頑張りすぎている親御さんへ

診察室で出会う多くの保護者の方は、自分のことを後回しにして、懸命に子どもを支えておられます。

でも、親が疲れ切ってしまっては、子どもを支え続けることはできません。

息抜きは、大きなものでなくて構いません。

ほんの数分でも、「自分を回復させる時間」を持つことは、とても大切なことです。

あのときの質問は、私自身にとっても大切な気づきでした。

診察室が、子どもの発達だけでなく、親御さんの心も一緒に支えられる場所でありたい——そんな思いを込めて、今日はこのお話を書いてみました。

 

院長 藤井 明子
記事監修
院長 藤井 明子

北里大学医学部 卒、東京女子医科大学医学系大学院修了、東京女子医科大学病院、長崎大学病院、長崎県立こども医療福祉センター、さくらキッズくりにっく 院長、どんぐり発達クリニック 院長

医学博士、日本小児科学会 小児科専門医、日本小児神経学会 小児神経専門医、日本てんかん学会 てんかん専門医、日本小児精神神経学会 小児精神神経学会認定医、子どものこころ専門医

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