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視覚機能について考えよう ~ ①入力機能(前編)~

視覚機能について考えよう ~ ①入力機能(前編)~|どんぐり発達クリニック|発達障害

どんぐり発達クリニックの作業療法士です。

今回は、私たちの生活のなかで「見ること」を活用するための総合能力である【視覚機能】について話していきたいと思います。

 

【視覚機能】は、生後からゆっくりと発達していき、通常は6歳くらいまでに土台ができあがります。しかし、何らかの問題があってうまく発達しない場合、小学校に入ってから学習や運動でつまずき、原因もわからないままに「自分は勉強ができないんだ」「運動は嫌いだ」と自信を失ってしまうことがあります。

 

学習や運動でつまずきがみられる場合、その背景に視覚機能の問題が潜んでいないかどうか、チェックしておくことは重要なことです。そして問題が発見されたあと、眼のトレーニングを行い、視覚機能を発達させたり、眼鏡や教材の工夫で調整したりすることが大切です。

 

【視覚機能】は大きく2つの機能に分かれています。

今回は【視覚機能】の①入力編について、チェックリスト(前編)をまとめました。家庭や学校でのお子さんの様子を思い出しながら、当てはまる項目があるかどうかをYES・NOで答えてみましょう。

 

【 視覚機能チェックリスト ①入力編(前編) 】

質問項目 答え
音読のとき、行を飛ばしたり、同じところを何回も読んだり、読んでいる場所がわからなくなったりすることがある。 YES・NO
読むときに、非常に時間がかかる。 YES・NO
読むときに、大きく頭や体を動かす様子がみられる。 YES・NO
近くを見るときに、頭を斜めにして見ようとしたり、しきりに眼をこすったりする様子がみられる。 YES・NO
黒板に書いた文をノートなどに書き写すこと(板書)に時間がかかる。 YES・NO

 

→ YESの項目があった場合は、チェックリストの解説を読んで、背景にどのような問題が考えられるかを検討してみましょう。

 

〇背景を考えてみよう!

音読のとき、行を飛ばしたり、同じところを何回も読んだり、読んでいる場所がわからなくなったりすることがある。

【背景】:眼球をスムーズに動かせないため、行の途中で文字を飛ばして読んでしまったり、違う行に目線が移ってしまうことから起こりやすい問題です。

 

読むときに、非常に時間がかかる。

【背景】:文字を音の情報に変換することに時間がかかってしまうという場合もありますが、目線を行にそって正しく早く追えないために速く読めないことがあります。

 

読むときに、大きく頭や体を動かす様子がみられる。

【背景】:眼がスムーズに動かないため、頭や体を補助的に動かしながら読んでしまうことがあります。

 

近くを見るときに、頭を斜めにして見ようとしたり、しきりに眼をこすったりする様子がみられる。

【背景】:両眼のチームワークの問題で、両眼をきっちりそろえて同じ方向に向けるのが難しいことから起こります。この場合、両眼で見ようとすると、文字が二重に見えてしまうため、それを避けるために無意識に片眼だけで見ようとしてしまいます。ものが二重に見える状態は非常にやっかいなので、見て理解することが難しくなります。また、眼が疲れやすくなるため、読むこと自体をあきらめてしまうこともあります。

 

黒板に書いた文をノートなどに書き写すこと(板書)に時間がかかる。

【背景】:こちらも両眼のチームワークの問題から起こることがあります。黒板の文字を書き写すときは、遠くの黒板から知覚のノートへ、近くのノートから遠くの黒板へと、目線を繰り返し動かす動作が必要ですが、近くを見るときに両眼を寄せたり、遠くを見るときに離したりという動きが効率よくできないために、速く写せないことがあります。

 

今回は、【視覚機能】の1つである入力機能について、チェックリストを用いながら背景を考えてみました。チェックリストに該当する場合、当院の作業療法でも評価ができますので、診察時にお気軽にご相談ください。

 

〇参考文献
北出勝也(2009).読み書き・運動が苦手なのには理由があった 学ぶことが大好きになるビジョントレーニング.P12ー22

 

院長 藤井 明子
記事監修
院長 藤井 明子

北里大学医学部 卒、東京女子医科大学医学系大学院修了、東京女子医科大学病院、長崎大学病院、長崎県立こども医療福祉センター、さくらキッズくりにっく 院長、どんぐり発達クリニック 院長

医学博士、日本小児科学会 小児科専門医、日本小児神経学会 小児神経専門医、日本てんかん学会 てんかん専門医、日本小児精神神経学会 小児精神神経学会認定医、子どものこころ専門医

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