
どんぐり発達クリニックの作業療法士です。
前回(視る力を育てよう!① ~眼球運動について~)では、学習や運動をするうえで重要な役割を担っている眼球運動について、固視(注視)、輻輳(ふくそう)- 開散(かいさん)運動 、追従眼球運動 、衝動性眼球運動の4つを紹介しました。
今回は、簡便な眼球運動のチェック方法について紹介をします。(★6歳以上が対象)
①固視(注視)のチェック方法
静止している指標(小さなターゲット:キャラクターがついたペンなど)を、お子さんの眼前40㎝離れたところから10秒間見続けられるかどうかを確認します。
★こんな場合はトレーニングが必要です!
・10秒間、指標を見続けることが難しい。 |
②輻輳-開散運動のチェック方法(両眼の方向をそろえて見る動きをチェックします)
指標が「1つ」に見えていることを確認します。お子さんの眼前40㎝離れたところから、両眼の間にゆっくりと指標を近づけていきます。
★こんな場合はトレーニングが必要です!
・指標が眼から10㎝以上離れたところで2つに見えてしまう。 ・眼から10㎝以上離れたところで片眼がはずれ、両眼で見ていない。 ・10㎝以上近づけると、はっきりと見えない。(理想は2~3㎝) |
③追従眼球運動のチェック方法(指標をゆっくり眼で追う動きをチェックします)
お子さんの眼前40㎝ほど離れたところから、指標を20~30cmの範囲内で横・縦・斜めに動かします。頭を動かさずに眼で追い続けてもらいます。
★こんな場合はトレーニングが必要です!
・「動かさないように」と言っても、どうしても顔や頭が動いてしまう。 ・眼が途中で止まって、指標から視線がはずれてしまう。 ・指標を追わないで、動きを予想して眼を動かそうとしている。 |
④衝動性眼球運動のチェック方法(すばやく眼を移動させる動きをチェックします)
指標を2つ用意し、互いに15㎝ほど離し、対に提示します。頭を動かさずに、2つの指標を左右・上下・斜め(左右)の4方向、素早く交互に見るよう指示します。
★こんな場合はトレーニングが必要です!
・「動かさないように」と言っても、どうしても顔や頭が動いてしまう。 ・眼が途中で止まってしまう。 ・眼を動かすときに、直線的ではなく、曲線的に動かす。 |
今回は【眼球運動のチェック方法】についてお話しをさせていただきました。【眼球運動】は、学習や運動をするうえで重要な役割を担っています。苦手さがある場合には、当院の作業療法でも評価ができますので診察時にお気軽にご相談ください。
参考文献:
北出勝也(2009).読み書き・運動が苦手なのには理由があった 学ぶことが大好きになるビジョントレーニング..P26-27
井川典克・高畑脩平・奥津光佳・荻原広道(2020).みんなでつなぐ読み書き支援プログラム.クリエイツかもがわ.P31-36