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【院長コラム】「答えの出ない時間」に寄り添うということ

【院長コラム】「答えの出ない時間」に寄り添うということ|どんぐり発達クリニック|発達障害

【院長コラム】「答えの出ない時間」に寄り添うということ

先日、帚木蓬生先生の『ネガティブ・ケイパビリティ』を読みました。

ネガティブ・ケイパビリティとは、
「答えの出ない事態や、不確実な状況に耐える力」
を意味する言葉です。

発達クリニックを続けていると、不登校のお子さんやご家族の相談を受ける機会が少なくありません。

学校に行ける日もあれば行けない日もある。
朝起きられる日もあれば起きられない日もある。
前日の夜には「明日は行く」と話していても、当日の朝になると体が動かないこともあります。

そうした状況の中で、ご本人もご家族も苦しみ、不安を抱えながら受診されます。

医療にはできることがあります。

体調や心の状態を整理すること。
必要な治療や支援につなぐこと。
本人や家族の話を丁寧に聞くこと。
今できそうなことを一緒に考えること。

しかし一方で、医療だけですべてを解決できるわけではありません。

だからこそ、焦って答えを出そうとするのではなく、その人の歩みに伴走し続けることが大切だと感じています。

以前、長い間学校に行けなかったお子さんがいました。

ご本人もご家族も悩みながら通院を続け、社会とのつながりを絶やさないよう様々な工夫を重ねていました。

私自身、
「この関わり方でよいのだろうか」
と迷うこともありました。

ところが、ある時を境に、そのお子さんは再び学校へ通うようになりました。

劇的な出来事があったわけではありません。

ただ、その子なりの準備が整う時が来たのだと感じました。

本書には、

「患者が抱く苦悩を抱え続ける必要がある」

という言葉があります。

私たち医療者は、すぐに答えを出せない場面にしばしば出会います。

それでも、ご本人やご家族とともに悩み、その時間を共有しながら歩み続けることには意味があると思っています。

子育ても、不登校への対応も、発達支援も、すぐに結果が見えるものばかりではありません。

答えが見えない時間を抱えながらも、つながりを絶やさず、その人なりの成長や変化を信じて待つこと。

『ネガティブ・ケイパビリティ』を読みながら、そんなことを改めて考えさせられました。

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院長 藤井 明子
記事監修
院長 藤井 明子

北里大学医学部 卒、東京女子医科大学医学系大学院修了、東京女子医科大学病院、長崎大学病院、長崎県立こども医療福祉センター、さくらキッズくりにっく 院長、どんぐり発達クリニック 院長

医学博士、日本小児科学会 小児科専門医、日本小児神経学会 小児神経専門医、日本てんかん学会 てんかん専門医、日本小児精神神経学会 小児精神神経学会認定医、子どものこころ専門医

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