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「様子見でいい」と言われたけれど、いつまで待てばいい?
これは、ある日の院長のママ友からの相談です。
「言葉の遅れが気になって健診で相談したんだけど、“様子見でいいですよ”って言われて…。でも、どこまで様子を見たらいいのか、正直よくわからなくて」
発達専門外来の診察室でも、非常によくよく聞くお話です。
「様子見」と言われて少し安心する一方で、「このままで本当に大丈夫なのかな」「何か見逃してしまわないかな」と、不安な気持ちが残る方も少なくありません。
「様子見」は、何もしないという意味ではありません
まずお伝えしたいのは、「様子見」とは決して立ち止まることではない、という点です。
発達には個人差があり、その時点では診断や支援の必要性を判断しきれない場合もあります。そのため「今は様子を見ましょう」という判断がされることは、決して珍しいことではありません。
ただし大切なのは、「様子を見る」と言われたときに、次につながる先を持っておくことです。
つながる先は、医療機関だけでなくて大丈夫です
「つながる先」というと、病院や専門外来を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、必ずしも医療機関である必要はありません。
例えば
- お住まいの地域の 保健センター
- 毎日子どもを見てくれている 保育園・幼稚園の先生
- 小学校であれば スクールカウンセラーや担任の先生
こうした身近な相談先も、立派な「つながる先」です。
複数の視点からお子さんの様子を共有できることは、発達を見ていく上で大きな助けになります。
様子を見るときに確認しておきたいこと
「様子見」と言われたときには、次の点を確認しておくと安心です。
- どんな変化があれば、再度相談したほうがよいのか
- どのくらいの期間を目安に様子を見るのか
- 家庭や園・学校で、どんな点を意識して見ていけばよいのか
特に、以下のような場合には、予定を待たずに相談して構いません。
- 園で友だちとのコミュニケーションが難しそうで、本人が困っている
- 集団生活での困りごとが増えてきた
- 園や学校への行き渋りが出てきた
- 家庭での対応に悩み、親御さんが疲れてきている
様子見の期間に、家庭で大切にしてほしいこと
様子見の期間に、特別な訓練や練習をする必要はありません。
医師として大切にしてほしいのは、「できていないこと」ではなく、お子さんが成長しているポイントを見続けることです。
例えば
- 伝え方が少しずつ増えている
- 表情や視線のやり取りが豊かになってきた
- 自分なりに工夫して関わろうとしている
こうした小さな変化は、とても大切な成長のサインです。
日常生活の中で、遊びや会話を楽しみ、「できたね」「伝えてくれたね」と言葉にして伝えてあげてください。
無理にやらなくていいこと
一方で、様子見の期間に無理をしなくていいこともあります。
- 他の子と比べすぎること
- 無理に言葉や行動を引き出そうとすること
- できないことを繰り返し指摘すること
発達は一直線ではなく、行きつ戻りつしながら進んでいくものです。
焦りや不安が強いと、親御さん自身が疲れてしまいます。まずは親御さんが少し安心できる環境を整えることも、大切な支援の一つです。
定点観測できる場所を持つという安心感
発達は一時点だけでは判断しきれないことが多く、時間の経過の中で見えてくるものがあります。
そのため、発達を「定点観測」できる場所とつながっておくことは、大きな安心につながります。
「今は様子見だけれど、気になったら相談できる先がある」
そう思えるだけで、子育ての不安はぐっと軽くなります。
「迷ったら相談」で大丈夫です
「様子見でいい」と言われたあとに迷ったり、不安になったりするのは自然なことです。
お子さんの成長を一番近くで見ているのは、親御さんです。その感覚は、とても大切にされるべきものです。
医療機関でなくても構いません。
身近な相談先、そして必要に応じて専門機関とつながりながら、一緒にお子さんの成長を見続けていきましょう。
発達外来は、診断をつけるためだけの場所ではなく、親御さんとともに「考え続ける」場所です。
「様子見」と言われたときこそ、ひとりで抱え込まず、つながりを持っておいてください。

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