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就学前の春、意識したい「発達のサイン」と準備のポイント

就学前の春、意識したい「発達のサイン」と準備のポイント|どんぐり発達クリニック|発達障害

3月に入り、園では卒園式の練習や、小学校へ向けての準備が本格的になってきましたね。年長さんたちを見ていると、期待で胸を膨らませて「早くランドセルを背負いたい!」と目を輝かせている子もいれば、環境の変化を敏感に察知して、少し表情が固くなっている子もいます。

実は私自身、小学校の入学式の日のことは今でも鮮明に覚えています。ガチガチに緊張して教室の席に座っていた私の後ろ姿を見て、母が後から「ずっと両肩が上に上がって、体中に力が入っていたよ」と教えてくれました。子どもなりに、未知の世界に対する不安と、「これから頑張らなきゃ!」という緊張感で、全身がいっぱいだったのだと思います。

診察室でも「小学校に入ってから急に落ち着かなくなった」「園では問題なかったのに、どうして?」というご相談をいただくことがあります。環境が変わり、求められる自立のレベルが高まると、それまで隠れていた課題が少しだけ顔を出すことがあります。

あの時の私のように、子どもたちは小さな体で、必死に新しい環境に適応しようとしています。今日は、就学後に子どもたちが少しでも楽に過ごせるように、今の時期から家庭で意識してあげたい「発達のサイン」と準備のポイントをお伝えします。

「学校生活」は、園生活よりも多くのステップが必要

小学校に入ると、子どもたちは「自分で判断し、自分で行動する」時間を多く求められます。園では先生が手厚くフォローしてくれていたことも、小学校では「自分のことは自分で」という場面が増えます。

「困った」を減らすためには、いきなり完璧を目指すのではなく、今の時期から少しずつ「自分でできること」の階段を上っていくのが近道です。以下の5つのポイントを、今の時期、お子さんの様子を観察するヒントにしてみてください。

1.物の管理は自分でできていますか?

ランドセルの中身を整理する、連絡帳を出す、筆箱をしまう。これらは意外と高度な作業です。「自分の荷物をどこに置いたか自分で覚えているか」「忘れ物をしていないか確認する習慣があるか」を気にしてみましょう。

もし難しそうなら、「帰ってきたら、まずカバンをここに出そうね」と、小さな場所から「定位置」を決める練習を始めてみてください。

2.文字への興味や、線を描く力

読み書きのスピードは個人差が大きく、焦る必要はありません。ただ、学校では「黒板の文字をノートに写す」という作業が始まります。

鉛筆を正しく持ち、線をなぞる、あるいは自分の名前を書くといった活動に抵抗がないか見てあげてください。もし嫌がる場合は、無理強いせず、一緒に迷路遊びをしたり、お絵かきをしたりして「書くことへの抵抗感」を減らしてあげるだけで十分です。

3.給食の配膳のシミュレーション

小学校の給食は、園とは勝手が違います。スープが入ったお椀をお盆に乗せて運ぶ、こぼさないように歩く、といった動作は、身体のコントロール力(協調運動)が試されています。

家でのお手伝いとして、自分の食器を運ぶ練習をしてみましょう。もしお盆を持って歩くのが極端に苦手そうであれば、それはまだ身体の使い方が発達の途上にあるサインかもしれません。焦らずに、ゆっくり運ぶ練習を遊び感覚でやってみてください。

4.友達とルールを持って遊べますか?

鬼ごっこやカードゲームなど、勝ち負けや「ルールを守る」という要素が含まれる遊びは、社会性の発達に非常に重要です。

負けた時にひどく怒り出さないか、ルールを無視して自分勝手な行動をしていないか。小学校の休み時間は、まさにこの「ルールの交渉」の場です。お家の方とのカードゲームなど、短い時間でいいので、ルールを守り、相手と関わる経験を積み重ねてみてください。

5.交通ルールと「1人で歩く」準備

小学校に入ると、多くの学校で集団登校が終われば、自分の足で歩くことになります。道路の右側を歩く、信号が変わるまで待つ、横断歩道では手を挙げる。これらは命に関わる大切なスキルです。

休日に一緒に歩きながら、「ここは危ないから止まろうね」「信号が青でも右左を必ず見ようね」と、一緒に確認しながら歩く時間を設けてみてください。「親と離れて歩く」ということへの準備にもなります。

「できない」を責めないで

これら5つのポイントは、決して「合格・不合格」を決めるチェックリストではありません。あくまで、「小学校という新しい場所で、子どもが少しでも楽に過ごすためのガイド」です。

もし「うちの子、まだ全然できていない!」と思っても、どうぞ落ち込まないでください。発達のスピードは一人ひとり全く違います。今、できないことがあっても、環境が変わってからぐっと伸びる子もたくさんいます。

大切なのは、これらのポイントを通じた「親子のコミュニケーション」です。

「今日は一人で運べたね!すごいね!」

「信号で一緒に止まれて安心だったよ、ありがとう」

そんな風に、日々のちょっとした練習を「褒め合い」に変えてみてください。「自分でできた」という小さな自信の積み重ねが、入学後の子どもを支える大きな力になります。

もし、どうしても心配な点がある場合は、一人で抱え込まずに、いつでもクリニックへ相談に来てくださいね。新しい環境を、お子さんが「楽しみだな」と思えるように、今の時期から少しずつ心の土台を耕していきましょう。

春からの新しい生活が、温かいものになりますように。

 

 

院長 藤井 明子
記事監修
院長 藤井 明子

北里大学医学部 卒、東京女子医科大学医学系大学院修了、東京女子医科大学病院、長崎大学病院、長崎県立こども医療福祉センター、さくらキッズくりにっく 院長、どんぐり発達クリニック 院長

医学博士、日本小児科学会 小児科専門医、日本小児神経学会 小児神経専門医、日本てんかん学会 てんかん専門医、日本小児精神神経学会 小児精神神経学会認定医、子どものこころ専門医

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