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1月の外来には、中学受験を控えたお子さんが多く来院されます。
この時期の診察室では、勉強の進み具合や志望校の話よりも、私はこんなことを聞くことが増えます。
「眠れている?」
「少しは、ほっとできる時間はあるかな?」
中学受験を前にした子どもたちは、言葉にしなくても、それぞれの形でプレッシャーを抱えています。元気そうに見えても、心の中では不安と向き合っていることも少なくありません。
中学受験は大きな出来事ですが、心が置き去りになってしまってはいけない――そんな思いで、日々診察に向き合っています。
中学受験は、ゴールではなくスタート
中学受験は、人生のゴールではありません。
一つの通過点であり、これから始まる新しい時間へのスタートラインです。
だからこそ、そのスタートに立つために、ここまで頑張ってきたお子さんを、まずはしっかりと労ってあげてほしいと思います。
自分のやりたいことを我慢してきた子。
「本当は嫌だな」と思いながらも、机に向かい続けた子。
うまくいかない日があっても、投げ出さずに積み重ねてきた子。
それだけで、十分に価値のある時間を過ごしてきています。
「もっと頑張れたかも」と思っている子へ
受験を前にして、あるいは受験を終えてから、
「もっと頑張った方がよかったかな」
「自分は足りなかったのかもしれない」
そう感じる子もいます。
けれど、どんな結果であっても、中学受験に向けて取り組んだ一つひとつの経験は、決して無駄にはなりません。
努力した時間、悩んだ時間、悔しさを感じた経験は、その子の中に確実に残り、これからの人生のどこかで力になります。
親御さんは、主役ではなく「サポーター」
中学受験の主役は、あくまでもお子さんです。
親御さんは、主役を支えるサポーターとして、そばにいてあげてください。
結果や点数に気持ちが揺れることもあると思います。
それでも、時には勉強や受験の話題から離れて、ほっとできるひとときを大切にしてほしいのです。
一緒にご飯を食べる時間、何気ない会話、安心できる空気。
それらは、受験期の子どもの心を支える大切な土台になります。
私自身の受験の話を少しだけ
実は、私は中学受験も大学受験も、第一志望の学校にはご縁をいただいていません。
この時期になると、今でも胸がちくっと痛むことがあります。
それでも、やりたい夢に向かうことだけは、諦めずに続けてきました。
その結果、学生時代に思い描いていた以上の場所に、今、私は立っています。
人生は、一本道ではありません。
思い描いていた道と違っても、その先に、その子にとっての最善の道が用意されていることがあります。
どんな道に出会っても、「大丈夫」を届けてほしい
どうか、
「この結果では先がない」
「もうダメだ」
そんなふうに、子どもの夢を閉ざす言葉ではなく、
「どんな道に進んでも、あなたの人生は続いていく」
「あなたには、これからもたくさんの可能性がある」
そんな「大丈夫」を、そばで届けてあげてください。
すべての子どもに、「大丈夫」を
中学受験期は、子どもにとっても、親御さんにとっても、心が揺れやすい時期です。
それでも、ここまで歩いてきた道のり自体が、すでに大きな意味を持っています。
すべての子どもたちに、「大丈夫」というメッセージが届くことを願って。
そして、どんな結果であっても、その子なりの一歩を踏み出せるよう、私たちはそっと伴走していきたいと思っています。

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