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「上の子のときは、もっとできていた気がして」
「兄弟なのに、こんなに違うものなのでしょうか」
発達外来の診察室では、兄弟・姉妹の発達の違いについての相談を多く受けます。
特に、下のお子さんの育ちがゆっくりに感じられると、不安や戸惑いが強くなる親御さんも少なくありません。
子どもによって、育ちのペースはそれぞれ
まずお伝えしたいのは、子どもの育ちのペースは一人ひとり違うということです。
同じ親から生まれて、顔がよく似ていても、
・体格
・食べ物の好み
・性格
・得意なこと、苦手なこと
そして、発達のペースも、それぞれ異なります。
兄弟だから似ている部分も確かにありますが、「同じように育つ」わけではありません。
これはとても自然なことです。
「上の子と同じ」は、あくまで一つの目安
「お兄ちゃんのときは、○歳でできていた」
「お姉ちゃんは、もっとスムーズだった」
こうした比較が浮かぶのは、ごく自然なことです。
兄弟の育ちは、親御さんにとって身近で分かりやすい“物差し”になります。
ただし、兄弟の育ちが必ずしも基準や正解になるわけではありません。
一般的な発達の目安として参考にすることは大切ですが、
それに当てはまらないからといって、すぐに「おかしい」「問題がある」と考える必要はないのです。
育ちには「幅」があるという視点
発達には、正常・異常という単純な二分ではなく、幅があります。
早い・ゆっくり、得意・苦手、そのグラデーションの中で、子どもたちはそれぞれ育っています。
できること、できないことだけに目を向けるのではなく、
「この子は、どんなことが好きかな」
「どんな場面で安心していそうかな」
そんな視点で、育ちや個性を見ていけると、子育ての景色は少し変わってきます。
ただし、「困りごと」がある場合は一人で抱えないで
一方で、発達がゆっくりだったり、特性があることで、
・集団生活での困りごとが目立つ
・お友だちとの関わりがうまくいかず、本人がつらそう
・園や学校での生活に支障が出ている
こうした場合には、「個性だから」と無理に受け止めようとせず、周囲の力を借りることも大切です。
園や学校の先生に相談するという選択
保育園・幼稚園・学校の先生は、これまで多くのお子さんを見てきた保育・教育のプロです。
家庭とは違う、集団生活の中での様子を教えてもらうことで、見えてくることもあります。
「家では気にならないけれど、園ではどうですか?」
そんな一言からの相談でも構いません。
心配が強いときは、発達外来へ
「気になる気持ちが続いている」
「比べてはいけないと思っても、どうしても不安になる」
そんなときには、発達外来に相談することも一つの選択肢です。
専門家と一緒に整理することで、
・今どこを見守ればよいのか
・どんなサポートが考えられるのか
が、少しずつ見えてきます。
受診は、「診断をつけるため」だけのものではありません。
安心するため、考えを整理するための相談でもよいのです。
比べてしまう自分を、責めなくていい
兄弟を比べてしまうことに、罪悪感を抱く親御さんもいます。
でも、それは「わが子を大切に思っている」からこそ生まれる気持ちです。
大切なのは、
「比べないようにすること」ではなく、
比べたあとに、その子自身に目を戻してあげること。
この子は、この子のペースで育っている。
その視点を、少しずつ持てるようになることが、親御さん自身の心を守ることにもつながります。
その子なりの育ちを、一緒に見つめていくために
兄弟で発達の差があると、不安になるのは当然です。
でも、すべての子どもには、その子なりの育ちの道があります。
一人で抱え込まず、
園や学校、そして必要であれば専門機関とつながりながら、
その子らしい成長を、一緒に見つめていけたらと思います。
私たちは、そのための相談先でありたいと考えています。

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