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「診断がつくのが怖い」と感じる親御さんへ

「診断がつくのが怖い」と感じる親御さんへ|どんぐり発達クリニック|発達障害

こんにちは、院長の藤井です。

診察室で親御さんとお話ししていると、お子さんの発達について相談を進める中で、「もし診断名がついてしまったらどうしよう……」 「できれば診断はつけないでほしいんです」というお気持ちを聞かせていただくことがあります。「診断がつくのが怖い」と感じることは、決して親御さんの心が弱いからでも、お子さんを受け入れたくないからでもありません。大切に育ててきた我が子だからこそ、湧き上がってくるごく自然な感情です。

今回は、なぜ私たちは「診断名」を怖いと感じるのか、そして診断名にはどのような意味があるのかについて、一緒に考えてみたいと思います。

なぜ、診断がつくのが怖いのでしょうか?

理由の一つは、「診断名がつくことで、我が子が今までとは違う存在になってしまう気がする」という不安ではないでしょうか。これまで一緒に過ごしてきた、笑顔がかわいくて、優しくて、大切な我が子。それなのに、「自閉スペクトラム症(ASD)」や「注意欠如・多動症(ADHD)」という診断名がついた瞬間、それまで見えていたお子さんの姿よりも、診断名ばかりが目に入ってしまうのではないか、と心配になる親御さんも少なくありません。しかし、どうか安心してください。

診断名がついたとしても、お子さん自身は何一つ変わりません。昨日までのお子さんと今日のお子さんが変わるわけではありませんし、その子らしさが失われることもありません。診断名は、その子のすべてを表すものではありません。その子の個性や性格、得意なこと、苦手なことなど、さまざまな特徴の中の一部を説明するための言葉にすぎないのです。

親御さん自身のことを考えるきっかけになることもあります

もう一つ、「診断が怖い」と感じる理由があります。それは、「ひょっとしたら自分にも同じような特性があるのかもしれない」という思いが浮かぶことです。お子さんの困りごとについてお話を伺っていると、「私も子どもの頃、同じことで困っていました。」「今でも仕事で似たようなことがあります。」と話してくださる親御さんは少なくありません。また、「私の育て方が悪かったのではないか」と、ご自身を責めてしまう方もいらっしゃいます。こうしたさまざまな思いが重なり、「診断を受けるのが怖い」と感じることは決して珍しいことではありません。

発達障害の診断名は「その子を理解するため」にあります

では、なぜ私たちは診断名をお伝えすることがあるのでしょうか。それは、お子さんを分類するためではありません。周囲がお子さんのことを正しく理解し、その子に合った環境を整えるためです。もし、お子さんに発達特性があったとしても、その特性が周囲に理解され、ご家庭や園、学校で安心して過ごすことができ、社会生活で困りごとがなければ、極端な話、診断名がなくても困らないこともあります。

一方で、特性が理解されないまま生活していると、お子さんは必要以上に傷ついてしまうことがあります。例えば、本当は脳の特性によって長時間じっと座ることが苦手なのに、「努力が足りない」「怠けている」と思われてしまう。あるいは、音や光への敏感さから教室に入りづらいのに、「我慢が足りない」「甘やかされて育った」と言われてしまう。そうした誤解の中で過ごすことは、お子さんにとって大きな負担になります。

そんなとき、診断名は「その子を理解するための共通言語」になります。「この子には、このような特性があります。」「だから、このような環境だと力を発揮しやすいのです。」そう伝えることで、ご家庭や園、学校が同じ方向を向いて、お子さんに合った関わり方や環境調整、合理的配慮につなげやすくなります。

診断名は、お子さんを縛るものではなく、理解のパスポートのような役割を果たすことがあるのです。

診断は「つけること」が目的ではありません

発達外来を受診されたからといって、すべてのお子さんに診断がつくわけではありません。発達は時間とともに変化していくため、経過を見ながら考えていくことも少なくありません。

私たちは診断名だけを判断しているのではなく、ご家庭での様子、園や学校での様子、お子さん自身の困りごと、そして、お子さんの得意なことや好きなことも含めて、総合的に考えながら診療を行っています。

診断を急ぐことよりも、その子を丁寧に理解することを大切にしています。

困りごとは「その子を知るヒント」

私たちは、診断名でお子さんを分類したいわけではありません。お子さんが何に困っていて、どのような工夫があれば安心して生活できるのか。どんな環境であれば、その子らしく力を発揮できるのか。それを一緒に見つけていくことが、私たちの役割だと考えています。

診断がつくことは、終わりではありません。お子さんがこれから少しでも自分らしく、安心して生活していくためのスタートです。「怖い」というお気持ちがあるままで構いません。

大切なのは、診断名をつけることではなく、お子さんが今どんなことで困っていて、どんな環境なら安心して力を発揮できるのかを一緒に考えていくことです。

どんぐり発達クリニックは、お子さんとご家族が「大丈夫」と感じられる場所でありたいと思っています。どうぞ一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。

当院の受診方法

「【院長コラム】子どもをネット依存にさせないために、いま家庭で大切にしたい4つのこと」

 

 

 

院長 藤井 明子
記事監修
院長 藤井 明子

北里大学医学部 卒、東京女子医科大学医学系大学院修了、東京女子医科大学病院、長崎大学病院、長崎県立こども医療福祉センター、さくらキッズくりにっく 院長、どんぐり発達クリニック 院長

医学博士、日本小児科学会 小児科専門医、日本小児神経学会 小児神経専門医、日本てんかん学会 てんかん専門医、日本小児精神神経学会 小児精神神経学会認定医、子どものこころ専門医

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